メキシコの球形サボテンの進出と進化

目次
1.初めに
2.メキシコ北東部における球形サボテンの進出と進化の経路についての試論


1.初めに
サボテン科は、木の葉サボテン亜科、ウチワサボテン亜科、柱サボテン亜科に分けられ、この順に進化してきたと考えられています。
園芸的に良く栽培される球形サボテンは、柱サボテン亜科に属し、他のサボテンと同様に南米で発生し北米にも進出したと考えられています。他の生物の進化の系統は主に遺伝子解析による結果が広く知られるようになりましたが、サボテンの世界では未だに進化論以前の2名法による分類に制約されています。しかし最近の遺伝子解析により、サボテンの進化と系統の研究が急速に進んでいます。北米球形連は、柱サボテン亜科の中で南米の小さな球形サボテンであるBlossfeldia属の次に古い連とされています[1]。また、北米球形連の各種も分子系統解析が行われた結果、Fig.1に示す系統樹が得られています[2]。
一方、北米球形種の大半はメキシコ、特に「チワワ砂漠域」と言われる地域に産します。主な属や種類の産地をFig.2の衛星写真[3]に記入してみました。すると分布も東シェラマドレ山脈の北から南へと古い物から新しい物へと並んでいるように思われます。従って、次に述べるような進出と進化のプロセスを考えることができました[4]。

2.メキシコ北東部における球形サボテンの進出と進化の経路についての試論
遺伝子解析によると、Fig.1に示したように北米球形連の中では、花籠類が最初に分かれ、次に有星類とエキノカクタスの群、スクレロカクタスの順に分かれ、さらに帝冠、烏羽玉類、アシャラグマ、菊水と言った小型で種数の少ない属が分かれ、さらにツルビニカルプスやエピテランサや牡丹類の群が分化したようです[1]。
一方、これらを含む小型の小属の産地を地図に書き込むとFig.2のようになります。上に述べた種類の多くは、東シェラマドレ山脈の北寄りから、南へ向かって順に並び、ケレタロ州辺りで止まります。これは何を意味しているのでしょうか。
また、その中で精巧丸は山脈を横切って西に進んだ所にあります。別の一群は東西山脈を西へ進んだりしています。


Fig. 1 Phylogenetic tree of Cacteae with habitats


Fig. 2 Landscape of Northeastern Mexico with habitats and imigration routes


Obregonia 二瓶和宏氏提供

[1] C. A. Butterworth, J. H. Cota-Sanchez, R. S. Wallace, Molecular Systematics of Ttibe Cacteae: A Phylogeny based on rpl16 Intron Sequence Variation, Systematic Botany, 27(2002)257-270.
[2]http://www.tageo.com/index.php?show=search.
[3]井上直久、Rodrigo Gonzalez, 野崎幸正、カクタス東京2006.