サボテンの分類と進化
2006.掲載
2007.1.20開設
2.1遺伝子解析解説開始

目次
1.はじめに
2.遺伝子解析による分類と進化の紹介
3.ギムノカリキウムの分類

1.はじめに
(1)サボテンの分類の歴史
サボテンはアメリカ大陸だけに産し、数千種類あると言われている。植物の近代的分類はリンネの2名法により始まると言われる。彼は属と種名の連記により植物を表す簡便な方法を提案した。リンネの書物にはサボテンも数種上げられている。
サボテンの分類が本格化したのは20世紀の初めである。多くの属が作られ、整理が進むと共に、新しい種類の命名が続いた。近年サボテン分類の混乱に対して国際的に統一化の動きが進み、主に属を統合する方向となっている(ここでは活動の自称に従って国際系統分類と呼ぶことにする)。一方20世紀の終りに生物学全体で遺伝子解析による分類の見直しと進化についての理解が進んだ。サボテンについては2000年代の初めから徐々に遺伝子解析による分類が広がっている。
(2)従来の分類とその問題点
@従来の分類
従来のサボテンの分類の主眼は何を種とし何を種としないかである。種の定義はお互いに交雑しないことであり、実際には自生地で共存しながら特徴を維持している物が種とされる。
一方で、色々な属が作られたのに対し、現在統合の動きがあるように、属についても関心は高い。
ところで、サボテンは全てサボテン科(Cactus family)に含まれる。サボテン科は他のどんな植物に近いのかというのは素朴な疑問であろう。さらに、サボテン科が主に木の葉サボテン、ウチワサボテン、柱サボテン亜科に分けられることは良く知られている。なお、亜科と属の間には連がある。実際には柱サボテン亜科だけに連があり、諸説あるが国際系統分類では9つあるとされている。
A従来の分類の問題点
問題点の起源は2つあるように思われる。いずれも現代は進化を考え、遺伝子で解析されているのに対して、分類は進化論が考えられる前のリンネの確立した古い方法を用いているためである。一つは外観を基準にした分類の為に主観が入りやすく人による食い違いが避けられない。もう一つは種類を属と種名の2つの名称で表す2名法の為、進化という連続的で階層的な変化を反映しにくいことである。
(3)遺伝子解析によるサボテンの分類と系統解析の概要
遺伝子解析の結果の大まかな点を下記に整理する。
@サボテン科は、ポーチュラカと最も近縁である。
Aサボテン科の中では、木の葉サボテン亜科が最も古く、ウチワサボテン亜科と柱サボテン亜科は並行して分かれた。マイフェニアはこれまで独立の亜科とされることが多かったが、広い意味での柱サボテンに含まれる。
B柱サボテン亜科の中では、最も古く分かれたのはBlossfeldiaで、北米球形種はそれに次いで古い。一方最も新しく分かれたグループは南米球形種を含むいわゆるトリコセレウス連の仲間である。
これだけでも従来の分類又はそれから受ける先入観と大きく異なることが分かる。従来のサボテンの本の大部分では、学術書であっても種の解説において木の葉サボテン、ウチワサボテン、柱サボテンの順に述べるため、これらの順に進化したことと整合しているが、柱サボテンの中では南米や柱を先に、北米球形を最後に並べる。後者は進化の順に述べるとすれば正しくなく、一貫性を欠いた配列で読者に誤解を与えやすい。
(詳細はカクタス東京438号参照)